仕事をナメていた私が、仕事を愛せるようになるまで(BUBBLE-Bさん #1)

私は1つのことに長時間集中できない。短い時間で細切れのように色々なことに興味が向き、それをいちいち消化しないと気が済まない性格をしている。だから呼吸をするようにネットを「ながら見」して、脳の好奇心と付き合っているのだ。

そのおかげで、多くの雑学が身についた。
全国各地の美味しいものや絶景の情報、人のふるまいの心理的なものとか、賢い買い物の方法、注目されやすいコンテンツの傾向、炎上してから企業がどう謝罪したか──。自分とは関係ないジャンクな情報の数々が、断片的に頭の引き出しに入っていく。そしてそれらは、時々、どこかで繋がっていくのだった。

とにかく、インターネットを愛している。
音楽に限らず、コンピューターで何かを作り、発信することも愛している。
そこから、愛すべき仕事を見つける必要があった。それが私の生存への道筋だった。

新卒入社から20年経ったある日、会社員そのものを卒業した。

今思えば、あれだけの環境を用意してもらい、あれだけ優秀な人々に囲まれ、よいお給料をくれた会社には感謝しかない。上手く行かないのを会社のせいにしていた自分が恥ずかしくてたまらない。

これからは、いかに「好き」ドリブンだけで動けるか。
自分は特殊なマイノリティだ。針に糸を通すような覚悟で、「好き」という名のスコープを覗きながら居場所を見つけるしかない。

そして私は、デジタル領域でのPR、作曲、ライターを仕事にした。
どれも楽しく、ストレスを全く感じない。

やっと見つけた、会社員時代とは全く違う仕事の内容とスタイル。
今までと違う刺激にヒリヒリしつつ、本気で仕事を愛せるようになった。

もう、土日に溜まったストレスを発散させる必要もないし、月曜日が憂鬱ということもない。充実した毎日で、精神的にとても健康になれた。

大事なのは、本当に好きなのかどうか。

それは、どこまでも、いつまでも、どの範囲までが好きなのか。

皆さんの「好き」は何ですか?

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