激安暖かこたつ市(ふつうエッセイ #424)

実家に帰ったら、なかなか興味深い新聞広告を見つけた。

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子どもの頃、僕の家にもこたつがあった。

こたつとは、実に人間を集めてしまう。僕も、弟たちも、朝起きればこたつに集まったものだ。そして長らくこたつから抜け出すことができなくなる。みかんがあれば最高だ。

だがご存知の通り、こたつに入れば、多くのことが頭からすっぽりと抜け落ちてしまう。できるのは、トランプかUNOかテレビ鑑賞くらいのものである。勉強なんて、絶対にできない。

「それは椅子がないからだ」ということか、新聞広告の一面には「こたつダイニング」の商品がラインナップされている。定価は10〜20万円。6人が入れるほどの大きなサイズだと、40万円を超えるようだ。(値引きされて20万円弱になっている)

確かに、冬にテーブルにいると足元が寒くなるから、それなりに合理的と言えなくもないけれど、見た目を考えるとエアコンで良いかなあと思ってしまうのは僕だけだろうか。

それにしても、こたつのラインナップの豊富さよ。

僕が子どもだったときから30年経っても、こたつの需要は低くないということだろう。

たかがこたつ、されどこたつ。

掲載の商品はほんの一例とのこと。実家にいるうちに、店舗にも足を運んでみたくなった。