鬱の原因を探っていたら、馬を発見した話(オカダ瞳さん #4)

それからの私は「馬に乗らせていただいている身」として、立場をわきまえた判断を心がけています。

馬の性格や価値観の全容は、正直なところ私にもよくわかりません。
そもそも、私が把握できる範囲外のものなんですよね…。

…という意識に変わったあたりから、
自分のことを「好き」とか「嫌い」とか考えること自体に
意味を感じなくなったのかなと思います。
私が好きであろうとなかろうと、馬は馬のままですから。

私は現在、育児という他人をお世話する仕事もやってるわけですが、
そのなかでも一番大切にしているのは「自分の中の馬」です。

育児は精神的にも肉体的にも大変なことの連続ですので
めちゃくちゃ馬に負担かかるんですよ。

しかし馬が暴走してしまうと、私も自己嫌悪になるし、
子供も気の毒だし、総じてろくなことにならないので、
常に馬の状況に気を配り、ケアしてあげてます。

例えば、お風呂あがりに馬が疲れてるようだったら、
しばらく子供には裸でYouTubeを見てもらい、
その間ゆっくり自分の保湿と着替えをさせてもらう、とかですけど。

飛行機の酸素マスクも「必ず子供より先に親が着けてください」って
アナウンスされるじゃないですか。
あれと同じです。

時には馬同士、子供と私の馬がバトることもありますが、
「しょーがねえなぁ」と多少のことは良しとしてます。
完璧主義は馬の敵なので。

さて、これまで様々な愛の苦悩について語ってまいりましたが、
婚活に関する悩みも、親に関する悩みも、仕事に関する悩みも、
「自分の馬の声に耳を傾ける」だけで、実は結構解決するんですよね。

大体の問題って、馬の声を無視しすぎて
おかしくなってるんじゃないかとも思います。

もちろん馬だけに任せて生きるわけにはいかないんですが、
人間の土台の大半は馬が担っているのもまた事実です。

自分や他者への愛でお悩みの方は、
まず最初に自分の馬に酸素マスクをかけてほしいです。

人間が何かを愛するためには
「自分の馬が元気であること」が最低条件だと思うので。

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