うんちが教えてくれた、自分を愛するということ(李生美さん #3)

とにかく便意に耳を傾けろ

うんちの悩みが絶えない人生を歩んできた。

便秘で悩んだことがないという人が、憎らしいほどだった。
特にひどくなったのは、就職を機に上京してきた頃。
全然出ない。全然出ないくせに、お腹の中にうんちが溜まっていく感覚ははっきりあって、ひどい時には吐き気を催す。いろいろ試してみた。排便するまでトイレから出られない大会を自主開催したり、腸もみ動画を参考に腸をもみまくったり、乳酸菌摂取のためにヨーグルトを食べたり。
そんな努力むなしく、本当にうんともすんとも出ない……。

だけど、ある時から毎日する〜〜〜〜っと出るようになった。
食事改善をしたわけでもなく、運動をしたわけでもなく、ましてや薬を飲んだわけでもない。

きっかけは、人との同居だった。

上京をしてから、2年間だけ人と一緒に暮らしたことがある。
同居をはじめた頃は環境が変わったストレスからか、奇跡的にうんちが出てもコロコロしていることが多かった。
わたしは同居人に、コロコロうんちが出ることと、便秘が本当に辛いことを打ち明けた。
なぜならこの同居人は、稀にみる「快便マン」だったからである。

「便意の優先順位をあげることやな」

と、同居人は即答した。

仕事中でも、会議中でも、食事中でも、デート中でも、いつでもどこでも少しでも便意を感じたら、即トイレに行く。どんなことよりも便意を優先させる。
すると便意は、それに応えてくれるという。

「え?会議中もうんちしに行くん?どうやって?」

「普通に手あげて、トイレいってきますって言うんや」

そんなことをしてもいいのか!と思ったわたしは、だいぶ仕事に侵されていたのかもしれない。
小学校の授業中に水を飲んではいけないという規則には怒りを覚えるのに、会議中にトイレに行ってはだめだという思考は、どこから生まれたのか。

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