ウォーリーをさがせ!(ふつうエッセイ #245)

ゴールデンウィークの帰省。

都内に比べてゆっくりと空気が流れているような気がする。穏やかな日々が続く中で、両親の歓待により怠惰癖がついてしまいそうだが、いよいよ大型連休の最終日を迎えている。

話は変わるが、地元の書店で『ウォーリーをさがせ!』に関する子ども向けイベントが開催されていた。おそらく書店員の皆さんによる自主企画であり、オフィシャルなものではない。書店の中にウォーリーの登場人物の切り抜きが貼られ、全員見つかるとプレゼントがもらえるというもの。4歳の息子も張り切って参加していた。

30年以上も人気が続いているウォーリー。カラフルで楽しげな絵本の中で、ウォーリーが旅をしている。そんな彼を探そうというのは、考えてみれば斬新な企画である。主人公なのに、姿をくらまし続けている。おそらく世界で一番、かくれんぼで「見つけられた」存在だろう。

しかしながら、ウォーリーは神出鬼没というわけではない。ちゃんと予告をした上で、行方をくらませている。というか当の本人は、隠れている気なんてさらさらないだろう。赤白のボーダーシャツに、水色のズボン。町にいれば、それなりに目立つ装いだ。

それでもウォーリーをなかなか見つけられないのは、俯瞰でみたときに、町そのものが色彩で溢れているからではないか。ウォーリーに負けじと、そこかしこの「もの・こと」はエネルギッシュな存在だったりする。

こんなふうに『ウォーリーをさがせ!』を通じて、世界がパッと明るくなるような読書体験は貴重だ。編集に携わる人間として、ウォーリーのような仕掛けは常に憧れの存在である。