ハーモニカを練習する老人(ふつうエッセイ #148)

公園には色々な人がいる。

公の園、との言葉通り、広く開かれているスペースだ。

僕の近所の公園は、そこそこ十分なスペースを有している。入口(門)もたくさんあって、四方から憩いにやって来る人々で賑わっている。

十分なスペースがあるので、何かの練習をするにはもってこいだ。

ダンスをしたり、合気道の型をしたり、ヨガをしたり、歌を歌っていたり。先日は、入口のところでハーモニカを練習する老人がいた。まだ始めたばかりなのだろう、テキストを片手にか細い音を奏でている。

その姿を見て、カッコいいなあと思った。

人生100年時代と呼ばれて久しい。

健康寿命も延びて、いわゆる高齢者の粋に達しても、色々なアクティビティに挑戦することができる。

だが、たいていはこれまで自分がやってきた物事の延長線上のことに留まるのではないか。全くの初心者で、技術をゼロから習得するのはしんどいものだ。

でも、その老人は、周囲の目を気にせずにハーモニカに没頭していた。

もしかしたら、病院の医師に薦められたのかもしれない。「脳の活性化に良いから」という理由かもしれない。もしかしたら3日で飽きるかもしれないのだ。

だけど、それでも良いじゃないか。

まず何かをやってみようと思う態度こそ、人生100年時代に最も価値のあることだ。食わず嫌いはもったいない。いつからだって始めてみる。

老人の姿から、大切なことを学べた気がする。