かくことは、「愛するもの」なのかもしれない<後編> / オタク気質女子の戯言(ももさん #4)

しかし一方で、私は人見知りをするタイプでもなければ、人前で話すときに極端に緊張するタイプでもありません。たわいのないおしゃべりや、準備時間のある発表はむしろ得意なほうだと思います。周りからは「社交的だよね」「プレゼンうまいよね」と言われることのほうが多く、これを書いている今も、私と話したことがある人からは「話すのが苦手?嘘つけ!!」と言われそうな気がしています。

私が苦手なのは、話すことと考えることを同時並行で大量に処理しなければならない状況です。たとえば面談や親や友だちとまじめな話をするときは、考えれば考えるほど言いたいことが一気に脳内に溢れてしまい、パニックになります。

また、私は過去に友人関係が原因でいじめられた経験があります。その内容は身体的ではなく言葉の暴力。しかも、いじめた本人には自覚がありませんでした。この経験から、私は気づかないうちに言葉で相手を傷つけることや発言を誤解されることに対してかなり神経質になり、言葉を選んで話すようになりました。

今でも話すときには「これはこの場所では言わないほうがいいな」「こういう言い方をしたほうがいいだろうか?」「そもそもどこから話せばいいんだろう?」といった思考が、絡まった毛糸のようにごちゃっとして脳の中心に居座ってしまいます。

かくことは、親友とのおしゃべりに似ている

こうなると、なにを言えばいいかも分からなくなり爆発。悲しくもないのに涙が止まらなくなり、話ができなくなることもあります。「怒っているわけでもないのになんで泣いてるの?」「傷つけてしまったのならごめん」と気を遣わせてしまうことも。そんな自分は今でも嫌いですし、できることなら見せたくない姿だったりします。

そのため、私は中学生の頃から「かくこと」で自分の気持ちを発散し、整理していました。発表のときは「なにが言いたいのか分からない」と言われないように、必死で台本を書いたりメモを準備したり。

かくことを続けてきた結果、私は落ち着いて話ができて、発表も人並みにできるようになりました。自分と向き合うために今までかいてきたメモや日記は、なににも変えることができない大切な友だちのようなものです。

・普段はまわりの目を気にして発言できないような話でも聞いてくれる
・言葉を選ぶのに時間をかけても大丈夫
・自分の思考がぐちゃぐちゃになったときは分かりやすく整理してくれる
・誰にもバラさない
・かけるものさえあればいつでもそばにいる

隣に誰かがいて1対1で話すときにはさすがに書いたりしませんが、内省するときに一通り今の自分が思っていることを書き出しておいたり、日記に学びを書き留めておいたりすることによって、パニックになることが減りました。前は何分もかけて原稿を作らないとできなかった発表準備が簡単なメモだけでもできるようになったのも「かくこと」が一役買っていると考えています。

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