なぞなぞの精度(ふつうエッセイ #480)

4歳の長男から「なぞなぞ、やろう!」と言われることがある。

もう慣れてしまったが、実家に帰ったときなど、団らんの席でなぞなぞを提案されることがあり、みんなの頭を実に悩ませている。

もちろんインターネットには、ありとあらゆるなぞなぞが落ちているけれど、団らんの席で携帯に頼るわけにはいかない。各々で、オリジナルのなぞなぞを披露しなければいけなくなる。

「そのまま食べても美味しいけれど、焼いたらもっと美味しくなるものはな〜んだ」

こんな、なぞなぞを披露する人がいた。

当人曰く、答えは「卵」らしいが、たらこだって、りんごだって、にんじんだって、たいていのものは焼いても美味しくなる。だからこれは、なぞなぞとして精度が低い。

そもそもなぞなぞの要件とは何だろうか。

例えば「カバンの中にいる動物はな〜んだ?」という、定番のなぞなぞがある。答えはカバだが、当然ながら、カバをカバンに入れることはできない。「カバン」という単語に、「カバ」が入っているから成立するのである。なぞなぞでなく、正解・不正解が問われる問題だとしたら間違いなく不正解で、ハムスターとか、リスとか、そういった小動物が正解になってくる。

でも、なぞなぞとしては「カバ」が正解だし、このなぞなぞは精度も高いと見做されている。

なぞなぞには難易度がある。4歳が答えられるなぞなぞもあれば、大人でも答えに窮するなぞなぞもある。ただ知識があるだけではダメで、「なぞ」という言葉があるように、物事を柔軟に推し図る能力が求められるのだ。

なぞなぞは、答えるのも楽しいし、作るのも楽しい。

いつの時代も、暇な時間を潰してくれる、貴重な遊戯なのだ。