映画館の座席間隔(ふつうエッセイ #332)

映画館の座席間隔ほど、マチマチなものも珍しい。

比較的新しいシネコンから老舗のミニシアターまで、間隔はそれぞれ違う。業界におけるガイドラインもあると思うけれど、立地の都合もあり、厳密に規定できるものでもないのだろう。

極端に間隔が狭いと、映画に集中できない。足が所在なげにゴソゴソと動いてしまう。もともと落ち着きのない性分だ。座席感覚にはある程度の余裕がほしい。

これって、僕だけが悩んでいる問題なのだろうか。

僕が知らないだけで、みんな声高に改善を主張しているのだろうか。それとも、僕だけがウダウダと悩んでいるのだろうか。

映画館で、近くの観客の様子は知るよしもない。真っ暗で何も見えないからだ。真っ暗な映画館で、彼らが何をしながら映画を鑑賞しているのか知ることはできない。もしかしたら鼻毛を抜きながら映画を観ているかもしれない。さすがに音を立てることはできないから、こっそりとリモートワークしているなんてことはないけれど、みんな居住まいを正した状態で映画を鑑賞しているのだろうか。世の中、分からないことが多すぎる。

でも、真っ暗な状況とは関係なく、近くの人たちのことは良く分かっていないのかもしれない。コワーキングスペースを見渡してみたら、結構みなさん、とんでもない姿勢でPC操作しているのが分かった。中には、首が折れちゃうんじゃないかと思うくらい、PC側に近接している人もいる。ほんと、スクリーンとくっついちゃうんじゃないか。

歴史から学ぶことは多い。なんて言われがちだけど、本当は、もっと近くの他人から学んだ方が良いのかもしれない。僕と他人は、もちろん全然違う人だ。だけど、きっと無意識で僕が「他人化」していることはあるわけで。

ちゃんと姿勢を正そう。首周りをストレッチしよう。

今日の気付きは、そんなことくらいで十分かもしれない。