梅雨明け(ふつうエッセイ #297)

梅雨が明けた。

例年であれば、「ようやく梅雨が明けた。これから暑くなるけど、夏を思い切り楽しもう!」となるのだが、今年はあまりそんなモードにならない。

なんといっても、各地で史上最短の梅雨だったことが大きい。「ようやく」感が全くないので、心身ともに準備できていないのだ。身体が叫んでいるような気がする。「いやいや、まだぜーんぜん準備できてへんよ!」と。

おまけに、とことん暑いのだ。

神奈川県小田原市では、観測史上最高気温を更新したらしい。

まだ7月に入る前のタイミング。これからどこまで上がるのだろう。そして来年以降の夏も、例外はあれど、これ以上の暑さが続くのだ。まったくどうして気候変動が、参院選の争点にならないのだろうか。

*

暑いと、ホットコーヒーでなくアイスコーヒーを飲みたくなる。

だけど家には、まだまだインスタントコーヒーのストックがしっかりと残っている。7月中旬になくなる算段だったのだけど、ちょっと減るのが遅くなりそうだ。

計算や想定ができないことが続くと、ちょっとずつストレスが溜まってしまう。だったらそもそも計算や想定など、やめてしまえば良い。耳元で、悪魔の囁きが聞こえる。想定外の暑さは、人間を狂わせる。

空は、からっからに青い。

梅雨明けの空は、なんでこんなに澄んでいるんだろう。その空の先には、遠くの国でまだまだ戦争は続いている。生きているだけなのに、文明も進化し続けているのに、どうしてみんな、こんなに苦労しているのだろうか。

がちゃん、がちゃん。

窓の外から、工事現場の音が聞こえる。とにかく頑張ろう。もうしばらくしたら、多少クールダウンすることを信じて。