TOKYO DREAM(ふつうエッセイ #393)

目黒駅から徒歩1分のところに、2018年頃にオープンした目黒セントラルスクエアという高層ビルがある。

1, 2階は主にカフェ・レストランのスペースになっている。スターバックスが入っているので、時々仕事をするために立ち寄ることがある。

先日、その辺りを通ったときに「TOKYO DREAM」というインド料理屋を見掛けた。運営しているのは株式会社HIRAで、インド料理、タイ料理など、都内に数店舗を構えたレストラン事業者だ。代表を務めるのは、ラミチャネ・スリヤさん。

会社の情報は、そのときに知っていたものではない。「TOKYO DREAM」という名前が気になって、後から調べたものだ。

なぜ調べたのかというと、「ああ、良い名前だなあ」と思ったからだ。と同時に、「今の日本で、こういった名前をつけられる人ってどれくらいいるだろう」とも感じたものだ。

TOKYO DREAM。東京での夢。

昔の映画やドラマでは、地方から上京して、一旗揚げようというギラギラとした若者の露わになった野心が描かれている。僕だって、20年前に、地方の男子校から首都圏の大学に進学した身分である。そのときはソワソワしたし、「何かできるんじゃないか」という期待でいっぱいだった。

2022年の東京。今も東京は、TOKYO DREAMを持ち続けている街であり続けているだろうか。

もちろん夢とは、街が持つものではない。個人のスタンス次第だ。

だけど、すっぽりと野心のようなギラギラしたものが抜け落ちてしまっているように感じなくもない。それは僕自身もそうで、「稼いでやろう」「何者かになってやろう」といった心持ちにあるわけではない。だから偉そうなことは言えないのだけど。

「TOKYO DREAM」は、きっとTOKYO DREAMを持っているんじゃないだろうか。僕が機関投資家だったら、投資させてもらえないかの打診を検討するだろう。

名前が表すこと。その意味や強さを、改めて感じた日だった。

TOKYO DREAM。近々、食事もしてみようと思う。