こちら側のどこからでも切れます(ふつうエッセイ #237)

久しぶりにインスタントスープを飲んだ。

お湯を注ぐだけで作れる即席スープは、体調が悪いときの強い味方だ。昔よりも、かなり味も良くなっていて、早くも毎日食べたくなる衝動を抑えるのに必死だ。

僕が今回購入したインスタントスープは、3袋入りのもの。

袋を取り出すと「こちら側のどこからでも切れます」という表示が出ている。

だいたいの袋は、ちょっとだけ切れ目が入っていて、その位置からでないと切ることができなくなっている。だが、このような表示の袋は、袋の素材が特殊なのか、するっと袋を切れるので便利この上ない。

ただ、その便利さの一方で、いささか表記の文字数が多めではないかと余計な心配をしている。「こちら側のどこからでも切れます」。文字数にして15文字、Yahoo!ニュースの見出しと同じ情報量が込められている。

「どこからでも切れます」
では、ダメだろうか。ダメじゃないけれど、やはり「こちら」を意識しないと、妙なところから切ろうとされると粉が漏れてしまうリスクがある。

「この辺から切ってね」
だと、ちょっとアバウトな気がする。「どこでも切れる」という利便性も感じづらくなってしまい、もったいない。





こんなふうに、文字じゃなくて切れ目を横いっぱいに広げるデザインはどうだろうか?うーん、少し分かりづらい気がする。

いささか多めでは?とケチをつけるのは簡単だけれど、代替案はポンコツばかり。長年インスタントスープを作ってきた当事者の皆さんの知恵、見識の深さに改めて頭が下がる思いだ。

でも、いささか多めであることは間違いないだろう。このような問いを場外から発してみることで、小さな変化が起こることを勝手に期待したい。

勝手気ままだからこそ、勝手気ままに何でも言える。そんな自由が許容される社会が、いつまでも続くことを切に願っている。