自分のことは、自分が誰よりも分かっている(ふつうエッセイ #60)

自分のことは、自分が誰よりも分かっている。
自分のことは、自分が一番分かっていない。

交わることのない2つの主張は、お互いが妥協することなく存在し続けている。この主張はどんな帰結であっても不毛なものであり、何かの学びになることは殆どない。ただただ不毛で終わるだけだ。

それでも何か1つくらい学べるものは何かと頭を捻らしてみる。

その主張の裏には、どちらも「自分」という人間の弱さがあるのではないかと思うのだ。それを勘繰られたくないものだから、自分を防御するために、一方では意地を張り、一方ではお手上げの姿勢をアピールする。

本当の意味で守られるかどうかは、ケースバイケースだ。

ただ、わりと高い確率で防御に失敗し、何かを失ってしまうことには自覚的であった方が良いように思う。

そもそも「自分」という言葉が2つ重なることによって、「自分」以外の他者は、「自分」に対しての興味が減じられる恐れがあるわけで。

「自分」を語るときは1回だけ。慎重に。

そんな生存戦略は、あながち的外れではないと思うのだ。