【だいきらいで、だいきらいで、もしかしたらほんの少し好きかもしれない】ふるさと・東北(小波季世さん #4)

東北の片田舎から東北一の大都会へ

わたしは、東北で生まれ育った。

東北は広い。とてもとても広大な土地だ。47都道府県の中で面積が一番大きいのは北海道だが、二番目と三番目は岩手と福島だ。

岩手は大体、四国と同じ大きさ。東京から宮城の仙台までは新幹線で1時間半くらいだが、仙台から隣県・岩手の盛岡まではさらに1時間ほどかかる。首都圏や近畿のように、隣県まで通勤・通学というのはそう気軽なことではない。

そんな広い広い「東北」。一人ひとりが思い描く「日本」のイメージが異なるように、東北出身者であっても「東北」のイメージやそこでの思い出は千差万別だ。

東北で一番の都市といえば仙台。仙台かそれ以外か。自分の地元より50倍くらい都会(あくまで体感値)のその街に、進学で出てきたわたしは怖気付いた。

どこも忙しなく、人はみな冷たい。そんな風に思っていたのに、慣れとは不思議なもの。大学で次第に心許せる人も増え、仙台は実家のような場所になった。じゃあ将来はどうしよう。そんなことを考え始めた大学2年生の3月。3年生に進級する直前になって、あの震災が起きた。

1 2 3 4 5 6 7