おにぎりの構成要素(ふつうエッセイ #122)

皆さん、お忘れでしょうか。

米 + 具 + 海苔+塩+水

水です。水も忘れてはいけない。

もちろん食べる立場のみであれば、おにぎりに水の存在など分からないだろうが、おにぎりを握るために水は欠かせない。

水がなければ、米は傍若無人に振る舞うだろう。決してまとまろうとせずに。

水とは、企業にとってのミッションであり、クレドなのだ。

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先ほどから「企業にとっての」という雑なメタファーをしれっと織り交ぜているが、では、米、具、海苔は企業にとっての何だろうか?

米は、人だろう。

米に元気がなければ、おにぎりの味は劇的に落ちてしまう。米を育てるのは大変だ。春夏秋冬休みなく、土壌からせっせと耕さなくてはならない。社会人としての年数を問わず、どんな人も組織の中で活躍してもらうには、相応の労力と敬意を払わなければならい。米は日本の主食であると同時に、人は日本企業が誇る財産なのだ。

具は、強みだろう。

サービスの強みであり、プロダクトの強みであり、ビジネスモデルの強みであり。おにぎりの具に人気・不人気があるように、企業の強みも万人に向けられるものではない。自社の強みが、どのマーケットに刺さるか。それはおにぎりを誰に届けるか、どれくらいの売上見込みがあるかを占うのと、ほぼイコールなのだ。

海苔は、契約書だろう。

海苔は、契約書なのか?

そう。海苔は、契約書で間違いない!

もちろん契約書がなくても仕事のやり取りは発生するし、海苔のない塩むすびはそれはそれで美味しい。だが、ビジネスの一寸先は闇である。ちゃんと海苔を巻くように契約書をまかないと、不測の事態が起きたときにモロに損害を被ってしまう。(海苔がないと、米粒がポロポロと落ちてしまうように。もちろん海苔は万能ではないけれども)

おにぎりとは、あなたの会社を占う鑑にもなる。

あなたの会社の米は、生き生きしていますか?

そんな風に商談を始めるビジネスパーソンがいたら……さっさと勘定を払って退散した方が良いだろう。

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