23年しか生きてないし、恋愛なんか出来ないけど、愛を語ってみた<後編>(やまのぼりさん #4)

23年生きてきて、まともに人を愛することができなかった。

誰かを好きになることで辛い経験もしたけれど、人を愛し、さらに相手からも愛される関係は、きっと素晴らしいものだと思っている。

なぜなら、私が経験したことがなくても優れた映画や本や歌や様々な作品達が、その素晴らしさを教えてくれるからだ。

私が大好きな映画で「Call Me by Your Name」という、美しい愛の物語がある。

“好きな相手が、自分のことを好きだという奇跡”を改めて感じさせてくれる作品だ。

主人公達が20代前後の若者だから、彼らの未熟で不器用な愛の形にとても親近感を感じてしまう。

後先のことなんか考えないで目の前の相手と深く愛し合う。それだけで生きる喜びなんか十分なんだと思えてくる。

映画で二人が一つになっていく過程を見ることは、心を穏やかにさせてくれる。そして人と純粋に愛し合うとはどういうことなのかを教えてもらえる気がするのだ。

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この映画のように他にも、文字で、歌声で、映像で、絵で、様々な方法によって語られるたくさんの素晴らしい愛に魅せられてきたので、いつか自分もこんな関係が築ける人ができるはずと願わずにはいられなかった。

だから今でも私は、人と愛し合うことに対しての希望を忘れていない。

いつか来る運命的な瞬間に備えて、常に最善の自分でいたいのだ。

自分を素直に認めて、良いところは伸ばし、良くないところは直す。

自分を磨き続けることで人としての魅力も増し、良い人との出会いもある…はずなのだ。

そうすることで、いざ愛せる人に出会ったとき、惜しげもなく愛を注げる人になっていよう。

今はまだ理想的な愛が具体的にどんなものなのか、自分の言葉で語ることは出来ない。

だってたったの23年しか生きていないし、今はまだ恋愛なんか出来そうにないから。

それでもここで語った私の愛に対する希望的観測が、いつか良い方へ運ぶと信じて。

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