三十七歳とノルウェイの森(ふつうエッセイ #115)

僕は三十七歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。

これは村上春樹さんの『ノルウェイの森』の書き出しです。あまりに有名な作品で、しばらく読み返していませんでしたが、主人公のワタナベと同じ年齢になっていることに今更ながら気付きました。(冒頭のワタナベのことです。作中のワタナベはたいてい大学生です)

カート・コバーン、ジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソン。

27歳という若さで亡くなったアーティストが多く、20代のときは「27」という数値が生きる目安になっていました。

また幕末の歴史小説が好きだったこともあり、坂本龍馬が亡くなった31歳という数値も何となく頭に残っていました。

こんなふうに「あの人は○○歳のときに、こんなことをやったんだな」と知ることがあります。ケースバイケースで、ポジティブに発奮したり、ネガティブに落ち込んだりします。

「他人と比較する必要はない」という価値観を持っている気がしていたのに、どうやら僕は、比較や参照に溺れることもあるようです。

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いま、巷には「あなたの強みはこれですよ」と教えてくれるツールがけっこうあります。企業もWebテストと称して、求職者の性格や適性などを示すツールを利用することが一般的になってきました。

それらのツールを否定しませんが、性格や価値観を、他者から「こんな感じですね」と教えられるのって僕は違和感を抱いてしまいます。加えて「こんな感じですね」と示されたことが固定観念となって、自らを縛るような存在になってしまう恐怖もあります。

人間って、けっこう変わるものだし、グラデーションあるし、シチュエーションによって内向的にも外向的にもなると思うのです。

少なくとも「僕はこういう性格です」っていうのは、あまり口にしない方が良いんじゃないかなあ。考え方まで固定しちゃうと、身動き取れなくなっちゃいませんか?

正論ぽいことを言っていますが、僕の場合、ただフラフラと八方美人になっているフシがあります。みんなに良い顔はできないけれど、嫌われたくはないですから。