2通目「私はそれ、最高だと思う」(山本夕紀さん #2)

まえがき

第2回目のエッセイ、今回も読んでくださりありがとございます。

ちょうど年末年始の時期ということで、帰省している方も多いかと思います。今回は、私が両親からしてもらってきたことから、愛について考えてみました。

#2通目「私はそれ、最高だと思う」

まだほとんど誰の評価もついていないものに出会った時、その良し悪しを素直に感じることや、その良さを誰かに伝えることは、なかなか勇気がいる。

無名の作家が書いた、面白い、ような気がするこの本。
古着屋で見つけた、可愛い、ような気がするこの服。
ネットでたまたま見つけた、イカしてる、ような気がするこの音楽。

そんな、まだ点数のついていないものに出会った時、あなたはどうするだろう?

「いいもの見つけた」と、自分の中で大切に覚えておこうとするだろうか。
それとも、「これはいいぞ!」と、意気揚々と誰かに話をするだろうか。
はたまた他の人のレビューを探して、自分の審美眼を確認しようとするだろうか。

いや、もはや自分で好きなものを見つけるということの方が稀で、既に評価の高いものや人気なものを好きになっていたり、それが良いものなのだと自分に思い込ませているような場合も多くあるのではと思う。

まあ、それは人によって様々だけれど、誰かの高評価が積み重なっているもの程おすすめされやすい今の世の中で、まだほとんど誰にも知られていないものを「これはいいぞ」と見つけ出して、それ楽しみ、他者におすすめできる人というのは本当に貴重で、それは実はすごい力を持っているのではないかと思う。

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