おしりを温める(ふつうエッセイ #207)

昨日書いたエッセイに関連して。

いまなお「男の胃袋を掴む」といった言葉があるけれど、個人的にあまり好きではない。

令和時代は「恋人のおしりを温める」がふつうになっていくのではないか。

つまるところは、ウォシュレット完備の部屋だ。

恋人と過ごす1分1秒はもちろん楽しいけれど、ふと一人になりたい時間もあるはずで。そんなとき、温かいぬくもりを感じるトイレはありがたいスペースになるだろう。

「彼は(彼女は)、わたしの心もおしりも温めてくれるのね、と。

かくいう僕は、独身時代、ウォシュレット完備の部屋に住んだことはない。

一人暮らしの部屋を探している中で、リーズナブルな値段でウォシュレット機能のあるトイレに巡り会う機会は滅多にない。

だからこの「ふつう」が浸透していくためには、住宅を設計する関係者とタッグを組まなければならない。トイレ用品のメーカーとの連携も必須だろう。なにしろミッションは「心とおしりを温める」なのだから。

個人でおしりを温めるのは困難だ。そこには血の滲むような努力をしてきたメーカーのノウハウが欠かせない。道のりは長い。

けれど達成したその先には、他には代え難い喜びと安寧が待っているはず。さあ、そんな世界へ、はしりだしましょう。