安全第一(ふつうエッセイ #542)

安全第一とは、誰が最初に言い始めたんだろう?

工事現場において、「品質を大切にしよう」とか、そういう顧客目線の文言を掲示しても良かったはずだ。だが、安全第一という、工事を行なう人たちの目線での文言になっている。

当事者意識を持ちやすいという側面もあるのだろう。だけど僕は、安全第一とは本質を突いた言葉だと感じる。

工事現場で働く人たちが、安全を最も重視することで、結果としてしっかりとしたクオリティの建造物を作ることができる。これは工場などで、5S(整理、整頓、清掃、しつけ、清潔)の掲示をしていることとも通ずる。自分たちが気持ちよく働けることが、結果として、顧客が満足するものを作れるということなのではないか。

そう考えると、最近やたら「〜〜ファースト」という言葉が出ているけれど、本当に空虚なスローガンだなと感じてしまう。その言葉は、言葉としてちゃんと生きることはない。

子どもが大切なのは当たり前だし、東京に住んでいれば政治家は東京都民をみて働かなければいけないのは「そりゃ、そうだろ」というものである。

じゃなくて、当事者がモチベートするような言葉を考えるべきではないか。

そこに向けて、ひとつになれるような。

工事現場は、危険がたくさんある。少しでも気を抜けば、大怪我につながってしまう。それを避けようと、「安全第一」がスローガンになったのだろう。結果的に、働く人たちを一致団結させるものにつながっているのだ。

そんな言葉の可能性を、もっと見出していきたい。