がさごそ。(ふつうエッセイ #683)

息子の昆虫熱が、ピークに達している。

昨年もけっこうな数の昆虫を飼育していたが、今年は早い段階から手持ちの虫カゴはフル動員され、そして新しく調達したものも含め、玄関はさながらミニ・昆虫ショップの様相を呈している。

家人が寝静まり、こうしてカタカタとキーボードを打つ横で、やおら、がさごそという音が聞こえてくる。昆虫は、夜に活動する。だから昆虫たちが動き回っているのだ。(あまりにアクティブ過ぎて、先ほど、1匹のクワガタが虫カゴを飛び出しているのを発見した。力、強いな……)

でも、昆虫側からしたら、夜中に起きて残業している人間の方こそ、「がさごそ」しているやつだと思うだろうなあ。「おいおい、人間って、夜は眠るんじゃないのか?」なんて思っているのではないだろうか。だとしたら、もう返す言葉もない。そうだよ、僕は一刻も早く寝るべきなんだ。

それは分かっちゃいるけど、つい、がさごそしちゃうんだよね。