新聞の折込チラシ(ふつうエッセイ #619)

実は、新聞の折込チラシが好きだ。

昔から、ずっと好きだった。

子どもの頃、自宅に新聞が届いたらまっさきに手元にたぐり寄せた。折込チラシを取り出し、裏側が白紙のものを抜き取るためだ。裏面がツルツルのものは、書くのに向いていない。ちょっとザラついているものが良かった。折込チラシに、ひたすら落書きするのが楽しかった。それは自由帳に何かを書く / 描くのとはずいぶん違っていた。

今は、折込チラシを眺めるのが好きだ。スーパーマーケットの広告は、いつも賑やかだ。

若鶏むねミンチが100g69円、恵ヨーグルトが1個119円で、心が躍った。

誰しも同じ感覚になるわけじゃないけれど、僕は折込チラシを眺めていると、しばしばこういう気持ちになれるのだ。チラシの商品に、ときどき不思議なキャッチコピーが添えられていることがある。色々な人が、色々な検討過程を経て、つけられた商品のキャッチコピー。

そうだ。僕も仕事で、近々提出しないといけないキャッチコピーがあったっけ。

不思議な、とか言って、笑っている場合じゃないな。思わずお客さんが唸ってしまうような、会心の作品をつくらなければ!

今日は、楽しい折込チラシを見れたので、前向きなエッセイになっています。これぞ、折込チラシセラピーか。