寒い夜だから。(ふつうエッセイ #615)

長野県富士見町を訪ねている。

朝はなんとか天気がもったが、昼頃から雨が降り始めている。

富士見町の5月は、肌寒い。忘れていたわけではないのだけど、冬の衣類はすべて段ボールの中にしまってしまった。わざわざパーカーを取り出すのも面倒だ。(そしてリュックは荷物でパンパンになっている)

なので油断して、羽織る程度のカーディガンのみを持参していた。これが誤りだった。

寒い。ああ、寒い。

寒いと、ただでさえ社交性の低い僕は、エネルギーを消費しまいと、「ひとり」の殻に閉じ籠もってしまう。「ひとり」の殻に閉じ籠もるとて、寒さが和らぐわけではないのだけど。

宿泊施設に戻り、毛布にくるまって「サンクチュアリ -聖域-」を観る。外の肌寒さとはまるで違う、あっつあつの展開が続いていく。笑いあり、涙あり。冷えた心身を温めるには、これ以上にない相応しい作品だったように思う。

でも、ラストはちょっと尻切れトンボだったかな。

寒い夜は、まだもう少し続きそうである。