「穴には愛」(早坂あゆみさん #3)

「マウント女子」が流行っている。

私がずっと昔OLをしていた職場にも、そういう人たちはいた。当時はマウント女子という言葉も、概念もなかったけれど。

とにかく、何でも人と張り合い、自分が優位に立たなければ気が済まない。そんな彼女たちを見て何より嫌なのは、自分の中にもそういう部分があるのを見せつけられることだった。同僚が何かミスした時、心のどこかでほくそ笑んでいる自分に気付いた時は心底ゾッとした。

コピーライターに転身してから、特にその傾向が強くなったように思う。30代半ばの遅すぎるスタートだったため、早く追いつかなければと焦るあまり、周囲を過剰にライバル視していたのである。

とは言っても、コピーライター仲間は皆良い人たちだったので仲良くしていた。むしろクリエイターにとって、競争心は互いに切磋琢磨するうえで欠かせないのである。しかし、仲間の活躍を祝福してやれない自分は、本当に「小さいなぁ」と思っていた。彼らが何か賞を獲り、フェイスブックで報告しているのを見ても「いいね」が押せなかったのだ。

そんな私に転機が訪れた。「菅付雅信の編集スパルタ塾」を受講した時のことである。この塾は「編集とは何か」を学ぶもので、名前の通り厳しかったけれど、とても充実した内容だった。毎回、超一流クリエイターの講師たちがゲストとして登壇。その方々からあらかじめ課題が出されて、上位10名だけがプレゼンできる。さらに、その中で最も優秀な人が講師からゲスト賞をもらえた。

私は運よくプレゼンできていたものの、ゲスト賞はなかなか獲れなかった。そもそも私の場合、プレゼンに選ばれるのは優秀だからではなく、人から見るとちょっと奇天烈な企画を出すお笑い要員だったからだと思う。

自分としては全くそんなつもりはなく、大真面目に課題に取り組んでいたのだが、講師や塾長の菅付さんはじめ受講生たちの笑いを誘うことが多かった。でも皆やさしい人ばかりで、そんなポンコツな私を面白がり、温かい目で見守ってくれていた。

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