焼きそばパン(ふつうエッセイ #534)

焼きそばパンとは、いったい誰が考えたのだろう。

あまりに安直な組み合わせだ。焼きそばとパン。どっちも美味いのだから、組み合わせても美味いに決まっている。実際に美味い。本来、たこ焼きパンだって、焼きたらこパンだって、焼きうどんパンだって、きっと美味い。

だけど、惣菜系のパンの代表格といえば、焼きそばパンなのだ。

焼きそばパンと、たこ焼きパンを分つものとは、いったい何だろう。

意外にこの問いは、あらゆる業界でも同じことがいえるのではないか。機能の豊かさは劣っていないのに、日本メーカーが開発したスマートフォンよりもiPhoneの方が圧倒的に支持されている。資本力や販路の差もあるけれど、そういった言葉では語れない何かが潜んでいる気がしてならない。

焼きそばパンは美味い。でも、うちのたこ焼きパンだって美味いはずなんだけどな。

そんなため息が、全国そこかしこで漏れている。

だったら、世界一のたこ焼きパンを作ってやるぜ。なんて気概は、僕には、ない。