なんて読むんですか?(ふつうエッセイ #533)

学生と社会人の境目とは、領収書を発行するかどうか、だ。

まあ、そんな大袈裟なことではないけれど、年々領収書の発行枚数が増えている。(今は2020年代なのか……と思いつつ)

2021年に会社を創業し、iPhoneを手渡して「これで宛名をお願いします」とお伝えしている。TOITOITOという表記がややこしいので(実はそれほどややこしくないのだが)、何回か見返されつつも記載してもらっている。いつか、「“といといと”でお願いします」と言うだけで、間違いなく記載してもらえるように頑張りたいものだ。

そんな中、先日いつもの通り、iPhoneを手渡して「これで宛名をお願いします」と宛名記載をお願いした。すると、店の方が「これって、なんて読むんですか?」と聞いてきた。ちょっと驚きつつ、「“といといと”と読むんです」と伝えた。そこにリアクションはなかったけれど、何だか清々しい気持ちになった。

別に、なんて読むかを知ったからとて、売上が1円あがるわけでもない。

でも、読み方を聞いてくれたことで、僕は、相手が関心を寄せてくれたのが分かったのだ。言葉の通り、僕の方に寄ってきてくれたのだった。

そういえば地元にいた頃、何の用もないのに寄ってきてくれた人がいた。中には邪険に扱ってしまったこともある。でもあれは、まあちょっと鬱陶しい部分はあったけれど、僕に興味を持ってくれていたんだろう。

ちょっとした懺悔の気持ちも抱えつつ、これからはひとつひとつのコミュニケーションを大事にしていこうと思う。