故郷を呪った自分へ、かける言葉があるのなら(BUBBLE-Bさん #2)

当時はインターネット元年などと言われ、ネットワークごしに、まだ会ったことのない音楽仲間が多くできた。彼らとはカセットテープを郵送し合い、互いの自作曲を交換した。

そこで知り合った人の多くは首都圏在住だったので、休みになると青春18きっぷを駆使して東京に行き、彼らに会いに行った。
そこでは、素晴らしい才能を持った人とたくさん知り合った。
やがて自分も出演者として東京に呼ばれる機会が増え、ようやく手応えのようなものを感じた。

こんなことは、滋賀にいては絶対に起こらない。
1日でも早く、何もない地元を離れて、自分を開花させよう。
東京から強く手招きされているように感じた自分は、就職と共に上京することにした。
胸のBPMは190くらいの高鳴りで鳴り響いていた。

待望の上京、一人暮らし。寂しいなんて感じる暇もなかった。
最高なことがたくさんあったし、素晴らしい出会いもたくさんあった。
それなりに最低なこともあったけど、全く後悔はない。
そうやって刺激的な20代、30代を過ごした。

でも、様々なタイミングが重なって、上京から20年後に地元へとUターンした。
2019年の年末のことである。

相変わらず、何もない静かな街。
日中歩いているのは、爺さんと婆さんがほとんどの街だ。

Uターンする少し前から、東京と地方の違いって何なんだろう?と考えることが増えた。
なぜ東京には若者が多いのか。スキルや才能を持った人が集まるのか。

地方ではスキルや才能があってもチャンスが少ないから。
人口も少なく、同じ志を持つ仲間との出会いも少ないから。
自分が働きたいと思っている業種の会社が少なく、就職できないから。

…いくらでも出てくる。

総じて言えるのは、「自分がサクセスしたいから」ではないだろうか。
日本中の若者がサクセスを求めて東京に集まってくる。そして、そういう彼らを必要とする仕事や文化があり、相応の報酬が支払われる。
だからサクセスしたければ、東京に行くしかない。

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