ミッドナイトの「d」(ふつうエッセイ #334)

1997年に発売された、工藤静香さんの29枚目のシングル「Blue Velvet」。ソロデビュー35周年を記念して発売されたセルフカバーアルバム「感受」が発売されたことで、テレビの音楽番組でも何度か披露されているようだ。

率直に懐かしい。工藤さんの特徴的な歌い方は艶っぽく、大したことが書かれている歌詞ではないはずなのに(作詞は愛絵理、工藤さんのペンネームだ)、いや、だからこそ曲が一気に華やかになる。

当時から、工藤さんが「midnight」の「d」を堂々と発声しないことが気になっていた。(ちなみに「Blue Velvet」をカバーしている倖田來未さんは、工藤さんの歌い方を踏襲しているのだが、工藤さんほど堂々と「d」をスキップできてはいない)

ちなみにmidnightの発音は / mídnὰɪt / だ。つまり「d」は発声しなければいけないはずである。カタカナ英語の名残としての「ミンナイ」なのだが、私はこのまま歌うんだ!という強い意欲に「くびったけ」である。

ハリケーンに飛び込んで、ドラマティックに叶わぬ夢を叶える。

叶わないといっているのに「叶えよう」と呼び掛ける。まいったな、ちょっと格好良いじゃないか。

ちなみに本曲は「ドラゴンボールGT」エンディング曲のタイアップとして起用されている。工藤さんの次は、WANDSの「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」だそうだ。撃って、撃って、撃ちまくりたい気分だったのだろうか。