24時間、一緒にいられなくても(碧月はるさん #4)

およそ1年と9ヶ月前、離婚をした。10年以上にも及ぶ結婚生活は、それなりに山あり谷ありだった。幸せなことも、案外いっぱいあった。それでもどうしても許せないことが幾つか重なり、数ヶ月の別居を経たのち、元夫と籍を抜いた。

離婚そのものの痛手よりも、我が子と引き離された痛みのほうが、はるかに凄まじかった。これまでも、何度か離婚の危機はあった。そのたびに元夫は泣いて謝り、私は情けなくも流されるようにそれを許した。

「もしも俺が同じことをしてしまったら、そのときは今度こそ離婚していいから。その場合は、親権も全部そっちに渡すから」

これが、彼の口癖だった。離婚が決まった際、私はこの約束を守ってもらえるものだと思っていた。でも、そうではなかった。

「約束したときと今とでは、状況が違う。だから、約束を守る必要なんてない」

約束事項を書面に残さず、口約束を信じた私は、どこまでもおめでたい愚か者だった。
精神科の疾患があること、障害年金を申請中で経済的な安定が確保されていない状況などから、私は親権取得を諦めざるを得なかった。元夫は公務員で、この上なく安定した経済状況だった。尚且つ、心身ともに健康で、精神科の既往歴もない。争ったところで、勝ち目があるとは到底思えなかった。

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