無くなる愛と、続く愛(片山壮平さん #2)

「おとうさんずるいー」

「何が?」

「だって、おかあさんとけっこんする前、べつの人とけっこんしてたんでしょー?」

上の娘が4歳の頃、それは保育園に送る道すがら世間話のように始まった。

「そうだねえ、でも別にずるくはないと思うよ?」

「えー、だって2回もけっこんしたらずるい」

「んー、結婚って、1回の人もいれば2回の人もいるだろうし、しない人だっているし、別に誰でも何回でもできるものだからねえ」

「ふーん」

「あと、回数が多ければ良いってものじゃなくない?前の人とはうまくいかなくなってお別れしているわけだし、お父さんはお父さんで大変だったってことよ」

「ふーん」

「まあおかげでお母さんとも結婚できてるし、可愛い子どもたちが3人も生まれたから、とっても良かったよね」

最近お友達で名字が変わった子がいたから、その話にでもなったんだろう。少し前に、妻から聞いている。お友達のケースへの理解に私の事例を引いてくるのは、悪くない流れだ。全く隠すことでもないけど、積極的に話すようなことでもないので子どもには言ってなかったが、向こうから聞かれることになろうとは思いもよらず、笑ってしまった。

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