よじ登る(ふつうエッセイ #376)

4歳の長男が、公園にある岩(らしきもの)に登る。

体重16キロの息子、ひょいひょいと登る様子に成長を感じる。近くで見守ってはいるが、転落する気配はない。

それを眺めていた1歳の次男も、「むぎー」と言いながら岩を触り始めた。

そうだね、一緒に登りたいね。でもさすがに無理だよ。と思っていたら、全身をぎゅーっと振り絞って、岩によじ登り始めたではないか。みるみる岩をよじ登り、登頂を果たした本人。スッキリした顔で、だけど偉業とも気付かないようなケロッとした表情をしている。

「高ければ高い壁の方が 登った時気持ちいいもんな」と歌ったのはMr.Childrenの桜井和寿さんだけど、なるほど、少し負荷をかけた方が楽しいこともあるようで。だからといって「危ない」と親はハラハラしてしまうのだけど、最初から岩から離していればそういった達成感も味わえなかったはずた。

ベテラン、中堅、若手。

こんな感じのカテゴライズをよく見る。

どういった組織に所属するかによって、このカテゴリーは変わる。お世話になった年上の同僚は、異動した組織で最も年齢が低く「若手」として見做されたそう。もちろん若手だからといって、与えられる仕事が限定的とは限らない。ただもし若手ゆえに良い仕事が回ってこないとしたら不幸だ。不確実性が高い世の中において、過去に実績がある人が正しい判断をするかといえば、そんなことはない。その経験は否定しないが、ともすれば、成功体験の呪縛によって思い切った施策が打てないこともあろう。

とにもかくにも、次男の登頂に心動かされた僕。安全策ばかりに終始していないだろうか。そんなお父たんはダサ過ぎる。高い壁、登っていこう。