いますぐインストール(ふつうエッセイ #338)

久しぶりにWordPressのテーマを購入した。

会社を創業をして、Webサイト「ふつうごと」を作る際に「SANGO」という有料テーマを購入した。今回は評判の良い「SWELL」を選択、ホスティングサービスの設定をいじりながら、なんとかテーマをインストールすることに成功した。(ちなみにWordPressには無料テーマもあります。高品質のものも多数あるので、独自ドメインで情報発信したい方は色々調べてもらえたらと思います)

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インストール画面に到達すると「いますぐインストール」というボタンに至った。

「いますぐ」という単語に、一瞬、手が止まる。

まあ言われなくても、いますぐインストールするんだけどな……。ブツブツ言いながら、そのボタンを押した。

果たして、「いますぐ」という言葉は必要なのだろうか。この言葉がなければ、「面倒くさいから、もうちょい後でボタン押せば良いかな」ということになるのだろうか。

実はこれ、日本語だけの問題ではない。英語では「Install Now」というボタンが表示される。(というか「Install Now」の和訳としての「いますぐインストール」なのだろうが)

どうして「Now」が必要なのか。おそらくこの議論はもはや不要で、何度となく先人によるA/Bテストが繰り返されてきた結果なのだ。「Install」よりも「Install Now」の方がクリック率が高い。だったらあえて「Install」を選ぶ必要はないよね、と。

ロジックでは理解できる。だけど僕は、抗えないかと疑う。

心からほしいものがあれば、僕は「Install」というボタンさえなくたって購入に至るはずだ。「これって購入のボタン、だよな……」という疑問を呈しながら、思い切りよくボタンを押す。何だか詐欺に引っ掛かりそうな発言だが、それくらい需要のパワーは本来大きいものだ。

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ソーシャルゲーム界隈で、射幸心という言葉が一時期流行した。「需要はないけど、利益を得たい」と願う気持ちを、いたずらに操作してはいけない。だけど逆にいえば、それほどまでにコスパ重視で、利益を得たいと願う人がいるということだ。

「いますぐインストール」が、人々の射倖心を煽っているとは言わない。だけど、そういう可能性もあるということを指摘しておきたい。僕は、人間の良心を信じたい。良心を信じていれば、必要最低限の言葉で、必要最低限のアクションを促すことができるはずだ。

と同時に、自分自身の日々の言動も検証しなければなるまい。ECサイトのなんとかセールに身を投じていないか。自分がほしいものは、本当に自らがほしいと思っているものなのか。

自分のことを知ることは、とても難しいことだけど。