神さまとの間に愛は存在するのか。夜の伊勢神宮で5分間「ありがとうございます」を唱え続けた話(李生美さん #2)

先日、久しぶりに大阪に帰省した。
実家では、用を足した後にトイレの蓋を閉めていないとお母さんに怒られる。
「また蓋閉まってなかった。あんたやろ?」と、1日に3回は言われる。

便座に座るまでは、蓋を閉めなければいけないことを覚えている。トイレの蓋を開けてから座るからだ。でもスッキリした気持ちよさのまま、蓋を閉めることなくいつもリビングに戻ってしまう。そして怒られることを繰り返している。

記憶では、2〜3年前からトイレの蓋について言われるようになった。あまりにもしつこく言われるものだから(それでも蓋を閉めないわたしもアレだが)その重要性を問うてみた。するとそれは、小林正観という人の教えなのだそう。

なんでも、毎朝トイレ掃除をした後にトイレの蓋を閉めると、お金に困ることがなくなるらしい。神さまはキレイな人が好きだから、身の回りをキレイにすると神さまが喜んでごほうびを与えてくれる。そのわかりやすい例が、トイレ掃除なのだという。

「宗教とかじゃないから」と、お母さんが先回りして牽制してくる。
「小林正観さんは逆に宗教とか嫌いな人で、自分の頭で考えて考えて考えた先に、宇宙のことわりがわかった人やねん」

わたしはスピリチュアルに対して嫌悪感などは特になく、ある人にはあるんだろうなと思っている。むしろそういう類の話を聞くのも好きだ。自身に起こったことへの解釈を紐づける先がスピリチュアルか、そうじゃないかの違いだけである。
運動会や遠足の前日に、てるてる坊主を作ったことがある人も多いだろう。プレゼンの時は赤いパンツを履いて願掛けをするだとか、通勤の時に信号に一度もつかまらなかったから今日はツイている日だとか、ちょっとしたスピリチュアル的なものは、そこらへんに転がっている。

「毎朝トイレ掃除したらな、ほんまに臨時収入が何個かあってん。あんたも絶対東京帰ったらやりや!」

実家に増えた植物も、お金を呼び込む種類だそう。
お母さんはたぶん、神さまを喜ばせたくてトイレ掃除をしてるんじゃない。8割方お金目当てのトイレ掃除だ。

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