エアコンが壊れる(ふつうエッセイ #356)

大学生のときに一人暮らしを始めた。社会人になり、結婚をし、家族ができたわけだが、共通しているのは、家の中のトラブルは自力で解決しなければならないことだ。

高校生まで親元にいた僕は、家のトラブルは親が解決していた。電球が切れようと、牛乳の買い足しが不十分だろうと、風呂掃除ができてなかろうと、僕の責任ではない。僕は気ままに不平不満を述べていれば良かった。

つい先日、我が家のエアコンが故障した。エアコン内部から水がポタポタと垂れてくる。エアコンを稼働させていると、ひっきりなしに水が滴り落ちてくるので、仕方なくエアコンを止めなければならなかった。まだ暑い日々が続いているが、夏真っ盛りのタイミングではない。我慢できないわけではない。

エアコンが壊れる、というのは初めての経験だ。

話には聴いていた。エアコンというのは、突然壊れるらしいと。うんともすんともいわず、真夏の高温を耐えなければならないという。考えただけでも息が詰まりそうだ。

すぐに修理の目処が立ったのが不幸中の幸いだったが、こういうとき、メカに弱い自分の無力さを感じてしまう。ちょこちょこっとドライバーを使って直すような人間に、僕は憧れていた。そうはなれなかった。

でも、僕は故障が判明したタイミングで、すぐに管理会社に連絡した。この行動のスピードは、誉めても良いと思う。社会人になり、悪いことがあったら即行動するというのが身に沁みている。

成長の証かもしれない。そんなことを考えながら、今日もクーラーなしの夜を過ごしている。