カブトムシは案外、暴れる(ふつうエッセイ #312)

5日前にカナブンのことを書いたばかりだが、今日はカブトムシのことを。

毎朝通っている公園で、息子がカブトムシを発見。クヌギではなく、なぜか葉っぱの上にくっついていた。ひんやりとした心地が良かったのか、いやまさか人間でもあるまいし……と、しばし考えたが、せっかくなので家で飼うことにした。

虫かごを持参しておらず、カブトムシの背中をつまみながら自宅まで帰る。しかしその道すがら、カブトムシくんは、しっかり暴れてくるのだ。

背中をつまんでも、カブトムシは6本の足をグリグリと回してくる。鋭いツメが指先に違和感を伴うダメージを与えてくる。目は、なんだか怒っているようにも感じる。

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「せっかくなので」と書いたが、カブトムシにとっては野外か室内かというのは、生育する上で大きな違いがある。もともと他の虫に捕食される昆虫でもないわけだから、どう考えても外の世界を満喫したかったはずだ。(「はずだ」と書いたけれど、確証はありません)

なので多少は快適な思いをしてもらおうと、家に帰ったら虫かごに入れる。我が家には虫かごが3つあって、そのうち2つには、コクワガタ、トカゲがそれぞれ入っている。残る1つはやや小さかったので、コクワガタを取り出す(夜行性なので、たぶん休んでいた)。カブトムシには大きい虫かごを、コクワガタには小さな虫かごをあてがう。

無事にそれぞれの「家」を確保できた後、ドッと疲れが押し寄せてきた。

これから仕事なのに、おれは何をやってるんだろう。

汗びっしょりだったので、Tシャツを脱いだ。まあ、息子が帰ってきたら喜んでくれるだろう。それだけで、お父たんは満足なのだ、おそらくは。