何もしない(ふつうエッセイ #251)

何もしなくて良い。何も直さなくても良い。

そんなことが、世の中、たくさんある気がする。

だけど本人は、「何かを変えなくちゃ」とか「欠点を直さなくちゃ」とか、いわゆるコンプレックスに対して臆病になってしまう。これは自分も含めてだけど。

病気も、そうだ。

もちろん健康体であることは、間違いなく長所のひとつだろう。

だけど、どこか健康を害していることは、欠点のひとつとは限らない。

相反する概念ではない。

僕は視力が著しく悪いけれど、コンタクトレンズのおかげで日常生活に支障はない。レーシックなどで視力改善する術はあるのだけど、いまのところコンタクトレンズで良いかなと思っている。視力を向上させることに関して、眼科医の定期検診を受けること以外は、何もしていない。

そういうこと、もっともっとあるはずだ。

何もしない。

そう決めるのも、また本人の意思が宿るのだ。