作りすぎちゃう(ふつうエッセイ #151)

SDGsという言葉が急速に広がり、個人や企業が環境負荷に関する意識が高まってきた。

しかし今でも、色々なものが余分に作りすぎてしまうという状況は続いている。

どの会社にも、会社名やロゴなどを冠した名刺や封筒、クリアファイルなどの「もの」が常備されている。

発注担当者には常識なのだが、これらは注文数が多ければ多いほど、1つあたりの単価は安くなる。もちろん名刺100枚、500枚を比べれば、名刺500枚の方が総額は高い。しかし単価は1/5まではいかないけれど、名刺100枚を2セット頼むときよりも安くなる場合がある。

材料費だけでなく、印刷にかかる人件費が固定費分として加算されるためだ。また売上を少しでも「高く」するための策略でもある。

それはそれで納得できるのだが、使いきれずに廃棄することが多々あって、そのたびに心を痛めてしまっていた。

オフィス移転や異動による部署名変更。結婚・離婚により名前が変わることもあるし、経年劣化で使えなくなることもある。廃棄せねばならない理由は、他にも無数に存在する。

個人や組織の事情をコントロールすることはできない。だからこそ、もっとオンデマンドに必要量を適切な価格で受発注できるようになれないものか。

自分が損しても良いから、高い単価で確実に必要な分を頼むというのが、現実的な対応だろうか。

いや、思考停止してはいけないと思う。

名刺に住所を記載する必要があるのだろうか。そもそも名刺は必要なのだろうか。全く初めましてで挨拶する場合は別として、既にメールなどのやりとりをしている場合、対面で初めて話すからといって、改めて名刺を交換する必要もないのでは?と感じる。

封筒も、企業の名前やロゴなどを印刷する必要なんてないのではないか。町の文具店に売っている茶封筒を利用しても良いのではないか。

「あー、あれもこれも作らなきゃ」と奔走するより先に、本当に必要なものかを考えたい。送り手の利便性や都合だけでなく、相手にとってのメリットになるかどうか。些末と言われそうだが、そういうところにこそ、こだわっていきたい。

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ちなみに、親族がたくさん集まる食事会で、ついつい作りすぎちゃう / 頼みすぎちゃうという問題もある。

フードロスの問題もあるし、みんなの状況を見ながらちょっとずつ頼んでいくようなオンデマンド方式を強く薦めたいと思うのだ。