駐車場における「4」(ふつうエッセイ #130)

ときどき、駐車場に「4」のナンバーがないことがある。

広く知られている話だが、4は死を、9は苦を想起させるため、これらの数字を意図的に回避することがあるという。

言うまでもないことだが、数字に色はない。

もし4の場所に車を駐車して事故に遭ったとしても、駐車位置との因果関係は全くない。

さらに言うまでもないことを繰り返すが、4とは、3に1を加えたものだ。あるいは6から2を引いたものであり、2に2を掛けたものだ。

4は死で、9は苦ならば、1は逸を想起させるかもしれない。誰から始まったか分からない言い掛かりに、付き合う必要なんてないのだ。

そもそも車にとって、4はとても大事な数字だ。

たいていの車は、4本のタイヤがある。2輪のバイクよりも、4輪の方が安定する。その安定感を求めてきたのは、他ならぬ人間ではないか。

4月は桜の季節だ。

日本の場合、4月から年度が始まることが多い。新たなスタートが切れるタイミングだから、祝意を象徴しても良いように思う。

ラッキーナンバーでない限り、個人にとって「不吉」だと感じる数字の存在と理由は、なるべく胸のうちに秘めておきたい。あまり気持ちの良い話にはならない。アンラッキーナンバーを吹き飛ばすような強さがほしい。