シネフィルとエンドロール(ふつうエッセイ #299)

映画好きなことを「シネフィル」と言うらしい。

なので今日は分かったような顔をしてシネフィルという言葉を使ってみる。

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映画館を愛するシネフィルによって長年議論されている「エンドロール問題」。要はエンドロールを見るか、見ないかということなのだが、両者の溝はなかなか埋まらない。

とはいえ、たいていのシネフィルは、エンドロール終了後まで座席を立たない。

スタッフのクレジットを眺めたり、挿入歌の情報をチェックしたり。先日公開された映画「シン・ウルトラマン」のエンドロールでは、告知していなかった高橋一生さんの名前があった。高橋さんがウルトラマンの声を演じていたというサプライズであり、これもまたエンドロールの楽しみのひとつだろう。

ちなみに僕も、エンドロールを最後まで見る派である。

エンドロールが終わり、劇場が明るくなった後もしばらく椅子に座ったままだ。何なら、上映前に購入したパンフレットを開きそうな勢いで。

エンドロール後は、入れ替えのためにスタッフが清掃をするので実際は速やかに退出しなければならない。だから、余韻を楽しむにも限度がある。

なので、30秒くらいだろうか。ふーっと息を吐いて、頭の中を空っぽにする。

映画のことをひとまず忘れようと、新鮮な空気を身体に取り込む。それでも映画の残像は存在し続けるわけで、その残像こそ、ロジック抜きに僕が印象に残ったことなのだ。

ただ、これは別にエンドロールを最後まで見ることで得られる体験ではない。僕と同じような感覚を、映画館をサッと抜けて、混雑しない帰り路で楽しんでいるのかもしれない。

シネフィルの楽しみ方は、人それぞれだ。

各劇場、毎月1日はサービスデーを行なっているところが多い。もし時間があるなら、サッと映画館に足を運んでもらえたら。本日公開の映画、めちゃくちゃ名作が揃っているという評判です。