人に必要とされたい(Geumさん #1)

ポケモンすごい!
わたしは、緑であそんでいる。

ガチャポンでメタルコレクションを集めはじめた。
ミューが欲しかった。
今回もだめだった。

わたしは寝室のタンスの中にサイフがあることを知っている。
100円玉をとった。

はれの日も、雨の日も、ガチャし続けた。

アッパに怒られた。
—ポケモン 小学校1年生 1996年

*

彼女は躁うつ病らしい。
お医者さんにいって薬をもらって飲んでいる。
パブロンもよく飲んでいる。

「うぇっうぇっ・・・」
彼女の様子がおかしい。
彼女の舌が引っ込まない。

アッパにも、おばあちゃんにも、とめられない。
救急車がきた、そして運ばれた。
—救急車 小学校2年生 1997年 

*

わたしは文房具屋に行くことが好きだった。

かわいい筆箱がある。
購入する。
「かわいい筆箱もってるね」
学校で言われる。

文房具屋に行く。
新しいかわいい筆箱を見つける。
購入する・・・。
教室にもっていく。
「それかわいいね」

あっという間だ。
“自分がやっていることがおかしいことってくらい、わたしもわかってる”
どんなに買い替えても、買い替えても、わたしが欲しいものは手に入らない。
—手に入らない 小学校3年生 1998年 

*

学校終わって、すぐ家に帰る。
はやみねかおるの『名探偵夢水清志郎事件ノート』を読んでいる。
読み終わってしまった。

家の寝室の窓から、外で遊ぶ子たちの声が聞こえる。
わたしは眺める。
—本 小学校3年生 1998年

*

家に帰る。
彼女はベルトを手で持っている。
持ったまま、わたしを追いかける。
逃げまわって、怖くて、部屋に閉じこもる。
“やめて、やめてよ、やめてよ”

静かになった。
ベランダを飛び出て、ばあちゃん家に行った。
—ベルト 小学校4年生 1999年

*

「ユナは魚が本当に好きだなぁ。きれいに平らげた。さすが俺の孫だ。この魚はイシモチっていうんだ。母国でよく食べるやつだぞ」
じいちゃんが嬉しそうだ。
イシモチ美味しい。

そして、おばあちゃんの作るご飯は大好きだ。
ずっとここにいたい。
—祖父母の家 小学校4年生 1999年

*

みんな、学校でプリクラの話をしている。
ゲームセンターにみんな撮りにいっている。
わたしもいってみた。
一人で撮影した。
—プリクラ 小学校5年生 2000年

*

父さんは失業したらしい。
別の仕事をし始めて、父さんは一人で大阪に行った。
家は日に日に荒れていく。
モノに溢れてく。
月に1回帰ってくる。
あなたは誰ですか?
—誰 小学校5年生 2000年 

*

今日は遠足。
お昼の時間が来た。

弁当袋みてみたら、ごま油でタッパーがべちょべちょだった。
白いご飯にキンピラゴボウ。

少し食べてやめた。
—遠足 小学校5年生 2000年

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