あっ、そ〜お?(ふつうエッセイ #38)

相槌というか、ちょっとした会話における罪のない返答が、相手への関心具合を印象付けてしまう。

心ここにあらず、という状態のとき、ふとした質問や問いかけに答えられなくなることがある。本当に関心がないときもあるけれど、何か返事をしなくちゃいけなくて適当に返してしまう。

あっ、そう。

という言葉は、ちょっとだけ力がない。

あっそ。

これはもう全然力がなくて、右から左へ声が流れてしまうような印象だ。

あっ、そ〜お?

これは意外に受け止め力がある!語尾を少し伸ばして疑問符をつける。「あっそ……」くらいまで発話してしまった後に、無理矢理「〜お?」と付け加えるだけでコミュニケーション・ギャップをギリギリで回避できる。

あっ、そ〜お?

と実際に声に出してもらいたいのだが、「お」を発話すると顔の表情が少し緩むことが分かる。眼球も少しだけ動く。声色だけでなく表情にも変化が生まれるので、相手にとって「あ、関心を持ってくれてる!」となりそうな感じがする。

ただし疑問符なので、その後で相手のリアクションはもう一度受け止める必要がある。会話を区切りたい場合には「あっ、そ〜お?」は有効でないかもしれない。

相槌ひとつ考えるだけでも結論が出ない。って、僕はいったい、何を守ろうとしているのだろうか。