セットでドリンクバー(ふつうエッセイ #21)

昨日、久しぶりにファミリーレストランに入った。

と言っても家族で食事したわけではなく、ひとりで仕事をこなすためだ。昼食も済ませていたので、ドリンクバーのみを頼んだ。

最近はどうか知らないが、ファミレスで料理を注文すると「セットでドリンクバーはいかがですか?」と声掛けをされる。単価を上げようというレストラン側の狙いだが、食べる側も満更ではない。

単品でドリンクバーを頼むよりずいぶんと安くなるし、何よりドリンクバーはとても楽しい。

炭酸飲料水、ジュース、カルピス、烏龍茶、コーヒー、紅茶……ありとあらゆるドリンクが揃っている。ファミレスによってはスープやサラダがつくこともある。

ドリンクバーを頼むと、ついファミレスに長居してしまう。

何度もドリンクバーを往復し、会話を永遠に続けられるのだ。

黙って食事をする、いわゆる「黙食」が求められる昨今はご法度だが、つまらない話もどんどん芽が出て花が咲く。とりわけ深夜のファミレスは悪魔みたいな力があって、貴重な睡眠時間がどんどんと闇に溶けていくから面白く、そして厄介だ。

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もっぱらコーヒー党になってしまったが、昨日は、つい色々なドリンクに手を伸ばしてしまった。

店内を見渡すと、ドリンクバーを注文している人の数の多さよ。ドリンクバーの根強い人気を実感した。

ドリンクバーが仕事場のひとつになってしまいそうだ。たまにはファミレスも悪くない。