交差して、折り返す(ふつうエッセイ #10)

NHK eテレ「デザインあ」に「くりかえし」というコーナーがある。

2つの線が交差し、折り返す。

その連続でネットフェンスが成立しているという。

ナレーションがひたすら「交差して、折り返す」と語りながら、最終的にネットフェンスができるというコンテンツだ。

デザインの基本は観察すること。全く意識していなかったことも、具に見ると、何かのパターンが編まれていることがある。

* * *

公園のそばを歩いていると、件のネットフェンスを見掛けた。

あの「交差して、折り返す」を頭に反芻させながら、そばに寄ってネットフェンスを見てみると……

あれ、よく見たら、交差して折り返して……いない?

交差して折り返している「っぽい」ようなデザインになっているのだ。網状ではあるのでネットフェンスであることは間違いないが、あえてこういう形状にしているのは、製作しやすいからなのだろうか。

ちなみに、すぐ近くには「交差して、折り返す」を体現したネットフェンスもある。

これこれ!と思いながら、どちらの方が、製作過程において合理的なのか頭を捻っている。

どちらもネットフェンスに違いないのだが、どちらが「ふつう」なのだろうか。