プロの技(ふつうエッセイ #420)

ひょんなことから、浴槽の排水口が詰まってしまった。

インターネットで解決策を調べて解決を試みる。重曹とお酢を混ぜたものをかけるとか、排水パイプ掃除用の洗剤を購入するとか、色々試したけれど効果なし。諦めて、おそるおそる管理会社に連絡した。

「おそるおそる」と書いたのは、我が家の「過失」によって、修理代を高額請求されるのではないか?と思ったからだ。おそるおそる事情を説明すると、てきぱきと専門業者を手配してくれた。

管理会社に連絡したのは夕方前。にも関わらず、当日の夜に来てくれて、10分も経たぬうちに「終わりました、確認してください」との報告を受ける。えええ!と思って水道をひねるも、問題なく水が流れていった。

まさにプロの仕事だ。

というか、一連の流れで対応してくれた、全ての関係者がプロだった。こういったトラブルは日常茶飯事なのだろう、電話を受けて然るべき部署に連携する。連携先は事情の種別を差配し、また然るべき専門業者に連絡する。そして修理に至ったという流れだ。実に美しい。

たしか5年くらい前にも、同様のトラブルが発生した。

そのときも管理会社に連絡し、わりとすぐに専門業者を手配してくれた。素人がごちゃごちゃと試行錯誤するよりも、プロに任せた方が早いし確実なのだ。

同じように、僕もプロとして技を発揮できる領域がある。だけど、その領域に対して困っている人たちは、だいたいが自己解決できないかと苦慮している。時間もリソースも浪費しながら、前に進まない。「全部、自分たちで解決しないと!」と思考する人は、けっこう多いのではないか。

それは、プロの側のアピール不足もある。「ぜひ、お任せください。トータルで考えればお安いですよ!」と理解してもらえれば、きっと進んでアウトソースしてくれるはずだ。

今回の修理も、なんだかんだ2日間の試行錯誤に加えて、重曹、お酢、洗剤などの実費が発生した。結果的に素人の試行錯誤は無駄であり、一刻も早くプロに任せるべきだったのだ。

世の中には、プロがたくさんいる。

プロたちのおかげで、日々を快適に暮らせている。もっと快適さを求めるならば、もっとプロの力を借りれば良い。当人は、当人が発揮できるプロフェッショナルに専念すれば万事OKなわけで。

そんなシンプルな原理を、ちゃんと信じていたい。シンプルイズベスト。試行錯誤するのは、自分の得意な領域だけで良いのだ。そうやって、楽して生きようじゃないか。