石頭(ふつうエッセイ #66)

ふたりの息子が、石頭である。

石のようにかたい頭で、ときどき、僕の顔面を突くことがある。

超、痛い。

当たりどころが悪ければ、涙が出ることもある。

特に次男は、まだ身体のバランスが安定していないので、不意に石頭が直撃することがあるのだ。

色々な要素が重なってしまえば、僕の歯も折れてしまうだろう。

なぜ彼らは、こんなにかたい頭を有しているのだろうか。調べてみると、「赤ちゃんや子どもが石頭で困っている(当たって痛い)」という声がわりに多い。

僕だけじゃなくて良かった。とかまあ、そういう問題ではない。

石頭というと、転じて頑固者という意味がある。そりゃ石頭が「柔軟なやつだ」という連想は湧かないので、良い意味づけだと言えなくもない。

でもそれでは、石が報われない気がする。石だって、何か思いがあって転がっているし、季節が変われば立ち振る舞いを変えている可能性もある。子どもが自分(=石)に向かって転がってきたら、サッと避けて致命傷を与えない優しさだってある。たぶん。

そもそも頭の方が、石の方に持っていかれ過ぎてはいないだろうか。「石のような頭」ということだから、石の方に主導権があるのは認めよう。だけど頭よ、頭がもつ本来のポテンシャルを発揮し、石の不得手な部分をカバーしてあげれば良いではないか。

そんなことを思いながら石頭に思いを馳せる。ちなみにアイキャッチに「STONE HEAD」と英訳をしたものの、たぶんそれでは海外では伝わらないだろう。難しいものだね。