考えて、捨てて、鼻筋のような一本道を。(ふつうエッセイ #686)

企画を10個考えろ。
そして、その10個を全部捨てた後に、出てくる企画を提案しろ。

おちまさとさんの書籍に記してあった言葉だ。正確な記載内容は憶えていない。10個じゃなくて、100個だったかもしれない。

テレビドラマを考えるケーススタディだった気がするが、「こんな結論だろう」と思いつく限りのアイデアを全部洗い出す。そして洗い出された全ての結論は捨てて、全く別の結論を採用しろというのだ。彼曰く、最初に思いついたようなストーリーは、視聴者の誰かが思いつく類のものである。プロとして、企画で飯を食っていく以上、視聴者(=素人)が全く考えもつかないアイデアで勝負しろというのだ。

そんなストイックなことは実践できていないが、彼の言葉はどこか呪縛に近いような形で僕の中に残っている。

そのアイデアは、ありきたりのものではないか。

僕ではない、誰かが思いつく可能性はないだろうか。

大学の起業家育成の授業では、「思いついた事業計画は、ほぼ100%誰かが実践しているものだ」というもの。

・競合を探せていない
もしくは
・競合が何かしらの事情で辞めた

という。でもそこで落胆するのでなく、この気付きやプロセスのもと、新しく歩み直していこうというメッセージだったと記憶している。

厳しくも、前向きなメッセージが僕は好きだ。みんなも好きだろうか。でも、けっこう厳しいメッセージにひよってしまうことはないだろうか。僕だって、耳の痛い言葉にはつい反発してしまう。

耳が痛い言葉の中には、きっと筋の通った考え方が潜んでいる。菅田将暉の鼻筋のように、スーッと通った道を探すのは困難を極めるが、極めがいのあることだとも思っている。

まだまだ道半ば。汗をかくことを、怠るつもりはない。