午睡(ふつうエッセイ #597)

時折、すさまじい眠気を感じることがある。

午前中の取材を終えて、軽く昼食をとり、電車に乗って帰路につく。仕事の参考文献に目を通していたら、避けようのない強い眠気に襲われた。

眠気には「襲われる」という漢字をあてるときがあるが、まさに眠気に襲われた。村上春樹さんは「ダンス・ダンス・ダンス」の中で、巨大な灰色猿というメタファーを登場させた。その猿は、主人公の頭をハンマーで思い切り叩き、主人公は深い眠りにつくという話の筋を作っている。「叩かれる」という実感はなかったけれど、途中通過駅のほとんどの記憶が一切合切抜け落ちている。

明日は天気が崩れるようで、気圧などに影響があったのかもしれない。あるいは、取材で神経をすり減らしてしまったのかもしれない(インタビュイーは素晴らしい方だった)。

原因不明。午睡を通じて頭がスッキリすれば良かったけれど、そうはならなかったのが無念だ。

いずれにせよ、ゴールデンウィークを直前にして、ずいぶん睡眠負債が溜まっているような気がする。もうちょっと、あと少し、走り切れば多少は余裕を得ることができる。取材でもらったエネルギーは、ちゃんと自分の中で消化して、ポジティブなエネルギーに変えなければいけない。

今日は、ちょっと早めに眠ろうと思う。今夜は、身体をしっかり労わることにしよう。