褒めること(ふつうエッセイ #73)

褒めることが苦手だ。

嘘をつけない性格なので(ときどき害のない嘘はつきますが)、色々な状況で、本心以外を口にすることができない。

褒める効果は諸説ある。

褒められると自己肯定感が上がり幸福度が上がるというもの。逆に、褒めすぎると相手が褒められることを求めて行動が歪になるというもの。まるで正反対だけれど、どちらも「もっとも」なロジックのように聞こえる。

その辺りの事情は一旦無視して、最近褒められて嬉しかったことを。

このWebサイト「ふつうごと」で取材を行なっていた際、取材をした方から記事内容を褒めていただいたのだ。褒めてもらったのが自分なのでやや照れ臭いのだが、「親にも見せたいです」という言葉をもらえて、むしろ僕の方が感動してしまった。

「すごいね!」というシンプルな言葉で褒められることもある。無いよりはマシなのだが何がすごいのか分からない。ただのお世辞ではないか?と訝しみ、20代の頃は素直に受け取ることができなかった。(今はもうちょっとフラットに受け取ることができる)

「すごいね!」に添えられる具体的な言葉があると、「ほうほう、これってすごいんだ!」という気付きをもらえることがある。逆もまた然り。褒めることで、僭越ながらヒントのようなものを提示できると、褒めるの価値がグンと上がるだろうと感じる。

褒めるのは難しい。たぶん、苦手は苦手のままだ。

だけどちょっとずつ褒めるスキルも高めていきたい。良い褒め言葉を見つけていこう。