居眠りの気持ち良さ(ふつうエッセイ #557)

居眠りとは、なんと気持ちが良いものだろう。

中には、ここで居眠りをしてはいけない(と見做されている)場所もある。

一般的には、学校の授業中や、仕事の会議中などがNGとされる。図書館も居眠り禁止と謳っているし、映画館でもいびきをかきながらウトウトするのは周囲の迷惑になる。

それでも、指摘を受けるまでは、居眠りというのは実に気持ちが良いものだ。ダメだと分かっているのに、つい船を漕いでしまう。NGとされていない電車の中での居眠りは至福、降りるはずだった駅を、うっかり乗り過ごしてしまった経験をお持ちの方も少なくないはずだ。

欧米の研究では、短い居眠り(昼寝)は、パワーナップとして集中力や気力が回復すると証明されているそうだ。職場にも昼寝のためのスペースが用意されているところがあるそうだ。日本でも、昼寝グッズなるものが発売されているけれど、どうしても居眠り=悪いものと見做されることが多い。

思い出すのは、大学時代。研究室の講義で、とある方がだいたい眠っていたのだ。その方は「僕はよく居眠りするんだよ」と言っていたけれど、その居眠りっぷりは堂々としていて、清々しかった。

あれくらい堂々と居眠りできるくらい、普段から「良い感じの大人」として節度ある行動をしたい。いつか言えるだろうか、「僕はよく居眠りするんだよ」と。