自転車の不具合(ふつうエッセイ #69)

いやあ、思い込みって怖いなという話です。

ここ数日、自転車の前輪が重くなったような感覚がありました。ペダルを漕いでいるのに、ブレーキがかかったような状態になっていました。ちょっとの傾斜でもペダルを漕げなくなり、さすがに悲鳴をあげて自転車専門店(サイクルスポット)に駆け込みました。

「みてみますねー」と気さくに言ってくださった店員さん。ふむふむと自転車の挙動を確認します。するとすぐに原因を突き止めたようでした。

なんと前輪に原因があると思っていたのですが、犯人は後輪でした。タイヤがまっすぐに自転車にハマっておらず、自転車のパーツに常時触れておりタイヤがきちんと回れない状態にありました。

サクッと真っ直ぐ立てていただきました。時間にして1分程度。請求はされませんでした。

直してもらって自転車に乗ると、いやあ驚きました。こんなに自転車ってスムーズに動くんだと……。どうやらここ数日に酷くなったのは確かなのですが、かなり前から不具合は発生していたのです。このビフォーアフターには本当にびっくりしました。

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人間の身体も同じかもしれません。

10月にストレッチサロンを訪ねたときのこと。上半身、特に肩周りがガチガチに張っていたので緩めてもらいました。ですが終盤、下半身をチェックいただいたときに「堀さん、股関節がだいぶ硬いです」と。

身体は、全て繋がっています。

もちろん肩周りが凝っていたことは間違いないですが、その根本的な理由は下半身にあったのかもしれない。下半身がきちんと稼働できていれば、上半身の動きもスムーズになる。どこかバランスが悪いと、それを庇うために不自然な動きを強いられてしまう。

厄介なことに、そういった変化は急激には訪れません。

じわじわと、身体が不具合の度合いを高めていく。昨日よりは今日、今日よりは明日という感じで。その変化は微妙な違いなので、身体は「不具合のある状態がデフォルト」というような認識を持たせてしまう。なので気付いたときには、かなり状態が悪化しているわけです。

健康診断は毎年行なっていますが、チェック項目は限られています。僕は目が悪いのですが、そう言えば、しばらく眼科に行けていません。30代後半ですし、そろそろきちんと目を労っていかねばと思います。

病院は、好んで行きたい場所ではありません。ですが「ちゃんと自分の身体を点検する」というマインドになるべきだなと。自分と向き合って、長く、健康でいられたらと思うのです。